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zoom RSS きらめき高校吹奏楽部 〜もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら〜   甘え

<<   作成日時 : 2017/03/13 23:51   >>

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すみませんwwwwBOWにハマってましたwwww


こんばんは。
楽しすぎるハイラルwwww


あのね、クソおもしれえっすわゼルダww
やばいですよマジ。ぼくがこの手のジャンルのゲームあんましてこなかったせいもあるんすけど、めちゃめちゃおもしろいです。ミファーさまかわいい!ウルボザさまイカしてる!そしてあのゲームしてたら腹が減る 笑


で、もう少ししたらモンハン出るっしょ?
やばない? 笑
ぜんぜん更新できないんですけど…ワラ


なんだこのテンションはw
とりあえずあの、そんなわけなんで、今回もぜんぜんなんも進まん話ですwマジ申し訳ないですが、この小説書きもあくまでぼくの趣味ですので、ゆるしてくださいwではではー。


以下本文
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土曜の朝。
きらめき高校 吹奏楽部の面々の一部は、音楽室でなく病院に集まった。


本来ならば練習をするところだが、授業の無い土曜日には顧問が居なければ音楽室が使えない。授業がなければ彼女も学校に来ることもないため、そうなると部活自体ができないのだ。


そのため、代わりに昨日階段の一番上から足を滑らせて転倒負傷してしまった橘 恵美のお見舞いにと、部員たちは集まったのだ。とはいえまだまだ規律も厳しくないきらめき高校 吹奏楽部だから、顧問が居たとしても、お見舞いの後で部活に来る面々が居たかもしれないが。


ともあれ、制服でなく皆、冬の私服姿で集まったこの病院、「きらめき市総合医療センター」は、市民にも「きらちゅう」「けんちゅう」などと呼ばれ、よく認知されている。あまり掛かっていない呼び名をされるのは、もともとこの場所が「県立きらめき中央病院」という名前だったために、そちらの方に馴染みがあるだけのこと。これから時間が経てば、その呼び名も消えていくだろう。


その一病室で足を完全にギプスで固定された橘は、部員たちが案じていたよりも、意外と元気そうな様子だった。足以外にもどこか打ったかと心配していた面々も多かったのだが、どうやら日ごろから彼女が興じていた格闘技などによって身に付けた身体の捌き方が、無意識に転落の中で行われたらしい。白い顔にも傷ひとつなく、腕なども痛むところがあるそうだが、日常生活に支障はなさそうだった。


ただ、足の方は打ち方が悪かったらしく、手術とリハビリが必要らしい。


「お医者様からは、
 「内側側副靭帯断裂」と診断されました…。


 望みが無いわけではありませんが、
 また元のように歩けるかどうかは、
 リハビリ等をしてみないことには
 わからないということです…」


安堵半分、不安半分の、ニュートラルな表情が部員たちの顔に表れている。光などは、好敵手だった神戸 留美の前例を知っているから、気が気ではないようだった。


「わからないってことは、
 元通りになる可能性だってあるんだよね?


 だったら、信じて頑張ろうよ!
 暗い未来を想像するのは簡単だけど、
 その通りになっていいわけないよ!」
「そうですよね。
 少しでも良くなるよう、前向きに頑張りたいです。


 ただ…」
「ただ…?」
「…部が大変な状態なのに、
 まったく動けない状態になってしまって…。


 本当に申し訳ないです」


ベッドの上、半身を起こした状態で、頭だけ下げる橘。黒い瞳は、ぎゅっと握った自分の拳を見つめて、歯がゆさに打ち震えているようである。しかし、ここのお医者さんよりも暖かく優しく、古式不動産の令嬢は、そんな彼女に声をかける。


「お 気 に な さ ら な い で く だ さ い」


頭を上げると、橘の視界に、お天道様みたいな変わらない笑みを浮かべ、首を横に振る同級生の姿が見えた。三つ網はその動きに合わせて揺れてまた戻ると、古式の言葉が後に続く。


「私 た ち は や れ る こ と を い た し ま す。
 そ う し て 橘 さ ん が い つ で も 戻 れ る よ う に
 い た し ま す の で、ゆ っ く り 戻 っ て きて く だ さ い。


 そ う そ う、お 父 様 が 申し て お り ま し た。
 急 い て は 事 を 仕 損 じ る と」
「そうだよ!ゆかりいいこと言う!
 それで治んなかったら超ぉもったいないし!」


さらっと不吉なことを言うが、本人に悪気はないだろう。
あっけらかんとした笑みを見ればわかる。むしろ、こういう雰囲気で前向きにさせてくれることは、ありがたいなと、橘は思った。


釣られて、少し悔しげではあるものの、微笑を浮かべる橘。また、彼女のその歯がゆさに、経験者も慰めをかける。



「…ほんとそう。

 橘さん、焦ると思うけどさ。
 俺の中学にも、定演前にケガした人居て。

 
 その人も結局定演ギリギリに治ったから
 練習間に合わなかったけど、
 マラカスとかそういう打楽器で参加してたよ」
「あー…」
「そういえばそういうこともあったわよね。
 今井先輩だっけ?」
「えっと…クラの方、でしたよね」
「そそ。
 

 …だから、どんな形になっても橘さんも含めて、
 みんなでやってきたこと出せる場所、
 しっかり作ろうと思う。

  
 んで、そこでやれることやってくれたら、
 誰も何も言わないよ。
 

 また楽譜とかCDとかも持ってくるし、
 橘さんは橘さんで、ここで部活してくれたら
 バッチリだから」


途中、都子や美樹原といった同郷の面々に同意を受けながら前例を交えて話した、右ポッケは空っぽのサックス吹き。なんだか今日の彼が物足りなく見えるのは、肩に愛器の姿が無いせいか。


その彼の微妙な笑みに、同じような表情で「ありがとうございます」と返した橘は、ふと、部員たちの顔ぶれに、妙に暗い顔をした人物を見つけて、はっとした。美樹原の横に立つ、頭を垂れてチャームポイントのリボンもしおれた感じにさせてしまっている、かわいらしい女の子。その表情を見てから、橘は、「あの」と誰ともなく言った。


「すみません…少し、高見さんに話しておきたいことがあって」
「えっ、俺…?」
「はい…なので、その…。
 お人払いを、お願いできませんか」


どうして、何を、直人にのみ話すというのか。
橘と直人が特別親しいような場面は部活中でもあまり見られなかったが、確かに同じ音域として話すことはあるようだった。それを知っている光や都子は、突然指名された幼馴染の横顔を見やる。


だが、彼の反応も、意表を突かれたような戸惑った色が見え隠れしている。足を固定された少女と彼の間に、示し合わせたような雰囲気は無い。


「…じゃあ、悪いけど…。

 いいかな…?みんな」


彼がそう応じると、吹奏楽部は彼とケガ人を残して立ち去る。

静かになった病室の一角は、最後の一人が退出して扉が閉まったかと思うと、すぐ、橘の方から話が切り出された。歩けないというだけで、彼女の意識はいつも通り凛としてはっきりしている。ただ、表情はあまり明るくないのだが。


「…あの。

 すみません、急に。
 みなさんのように携帯電話を持っていれば
 よろしいのですが…」
「あ、いや。
 …てか、俺に話って…」
「はい、その…。

 高見さんは以前、このきらめき市の夜の街における
 「総番長」さんと、お手合わせをなさいましたよね」
「…あ、ああ。うん。

 見てたんだよね、あの河川敷の勝負」


5月ごろのあの戦いは、はっきりいってフェアではなかった。初見殺しのファイトスタイル、妹を引き合いに出した話術、拳で語れといわれておきながら持ち出した武器、必殺技を一度見ていたこと…様々な要因が直人の方に傾き、不可能が可能の方にほんの少し傾いて、決した勝負だった。


しかしそのことについては当事者も、見ていた人たちも、特に言及してこない。あいつは卑怯だとか、そういう風な噂が流れるどころか、総番長を魔法使いアクションのヤローが倒したんだと、新たなヒーローの誕生に不良界は沸いているようだった。


それでも、自分が強いのかどうかと言われれば、間違いなく弱いと、直人は思っている。なぜか。それは部活と同じ観点で見ればこそ。


もしもケンカで強くありたいなら、恐らく、「練習」が必須。格闘技をしたり、場数をこなしたり、筋力トレーニングをしたり…そういうことをすればするほど、最強に近付くのだろう。が、直人はそっちの「練習」をする気はさらさらない。



…まあそりゃ、練習してないんだから本番の結果がいいわけねーよな。



そういうわけだから、番長だなんだと言われても、なんとなく他人事のような、しっくりこない感じがしてしまうのだ。


だが、


「はい。
 …それで、高見さんは…。

 あの後も、ケンカを続けているんでしょうか…?」


そんな橘の質問に、表情を曇らせなければならないほど、あの河川敷の戦い以降も、街は彼を否応無く戦いの舞台に引き上げてきた。そして、そのすべてに紆余曲折はあれど、勝ってきた。


さらに、今、またも魔法使いを求めている声が、この街のどこかでこだましている。その声が大きくなった時、いったい今度は何が起こるというのだろう。そんなことを考える余裕は今の彼にも無いのだが、漠然とした不安となって、他の不安要素と共に、黒い風船を胸の中で膨らませているのは、確かだ。


「…自分からしたつもりはないけど、
 まあ、何度かは…」
「そうですか…。


 …おせっかいかもしれません。
 ですが、高見さん。
 あなたのその手は、人を傷つけることに
 使うべきではないと思います。


 あなたの技に、指遣いと息遣いに、
 金賞銀賞様々な結果がついてきたでしょうし、
 救われた人も、助けられた仲間も、居ると思います。


 …そんなあなたが、もし、試合とも違う
 無意味なケンカの中で私のようなケガを負ってしまったら…。


 きっと、悲しい思いをするのはあなただけではないはずです」
「……。

 いや、そりゃ…わかってるけどさ…。


 でも、俺の方から仕掛けたことなんてほぼほぼ無いよ。
 向こうからやってきて、しかも横に女の子居たりしたら、
 そりゃやんないわけにはいかない時だって、あんじゃん」
「…それでも、です。
 警察に電話したり、逃げたり助けを求めたり、
 それができる時は、最大限してください。


 それは、決して格好悪いことではないですから」


そんなことはわかっている。

そう返したい思いが、諸事情の焦りから募ったが、ケガをしてまで人のことを気遣う黒髪の少女の顔が、どうにも真剣に訴えかけてくるものだから、そんなつっけんどんな答えなど、直人にはできなかった。 


「…わかった。
 でも、そんなこと、なんで今、急に…?」
「い、いえ…。
 ただ、少し…気になったので。

 
 すみません。
 部活の方、よろしくお願いします」
「うん。
 まあ、そんな俺がやれることなんて
 たいしたことないけど」
「そんなことはありませんよ」
「そうかな。
 
 …まあ、じゃあ。
 ほんとお大事にね。
 また楽譜とか持ってくるから」
「はい。お願いします。
 それでは」


ベッドの上で半身を起こした状態から行う会釈。その表情はやはり、いつものような柔和なそれとは違い、ぎこちなかった。それは、直人も同じこと。気さくな微笑も、癖みたいな苦笑も出ず、まるで余裕の無い真顔。お互いに言えないことを隠したまま、直人が病室を後にしたことで、2人は別れた。


廊下では、他の部員たちが待ってくれていた。
ただ、彼女らは律儀さ故に待っていたわけではなく、高見 直人に、まだ用事があるからだった。その用事は病院を出て、「これから用事があるから」と朝日奈 夕子や古式 ゆかりが抜けていった後で、陽ノ下 光から切り出された。


「あっ、直人君。
 あのさぁ、今からみんなで場所変えて、
 定期演奏会の話し合いするんだ。


 直人君もきっと居てくれた方がいいと
 思うし、どうかな」


詩織や美樹原、あるいは光や星川など、女の子たちの視線がサックス吹きに集中する。これまでも彼は幾多の行事において存在感を度々示し、ある時は楽器の腕で、ある時は小学校からの長い経験で、またある時は奇縁の過去から培われた価値観と自論で、少なからず部に貢献してきた。部の中枢でもある者たちが参加する話し合いに、彼が呼ばれるのも、あながちおかしいことではない。


そもそもこの部では、小〜中学校での吹奏楽経験を持つ人たちは貴重だ。先輩といえる人たちがこの部に居ない以上、それに相当するのが彼らということになるのだから。


だがしかし、彼は病室を出てきた時からの真顔のまま、即答した。


「…いや。
 悪いけど、俺も予定あるから」
「あ…そ、そっか。
 ごめんね、無理に誘って。

 前もって言っとけばよかったね」
「…いやいや、別にいちいち
 俺に声かけてくれなくていいから。


 そんな言うほど俺なんて話し合いに必要ないっしょ」
「そんなことないよ!
 
 君って経験豊富だし、それに…」
「――経験って。

 あのさ。経験者とか初心者とか前までは言ってたけど、
 もう光も経験者みたいなもんなんじゃないの」


あくまで表情は変わらない。
だが、どこかいつもにましてつっけんどんな態度に、光は言葉を失い、表情を曇らせる。


「…そ、それは…。」
「……。

 …今からはもうひとりひとりが
 やれることやってかないと、とてもじゃないけど
 間に合わない。


 まずいんじゃないの。
 そういう意識」
「……」
「俺がそんなずっと
 教えてあげられるわけでもないんだし…」

 
何か口走ろうとして、言いかけた言葉を引っ込めた、この道7年目にもなろうという少年のそれに、この場に居る誰もが、非難の声を浴びせることができなかった。


今までなら、アンサンブルコンテストの時期に光に中学の演奏を見せることを都子が忌避したように、高校から部活を始めた人たちにはなるべく負担をかけないようにすべきだという空気が、部内にはあった。


しかし、光はもう部の代表としてアンサンブルコンテストにも出た上、文化祭でも先輩を含めてディキシーのSoliもやっている。2年生になる頃には、もう初心者とは言いがたい存在になっていくことは間違いない。


そしてある意味、この時期の定期演奏会は、後輩を迎える前にある種、初心者たちが自信をつける場でもあるのだ。光には、十分、この3月で初心者としての自分を完成させる資格がある。


もっといえば、舞台の上では審査員や観客にとって、誰が初心者で、誰が1年生で、なんて関係のないこと極まりない。残酷だが、音さえよければそれに越したことはないのだ。


そういう世界にもっとどっぷり浸かっていくのであれば、ますます直人の言うようなことは、正しさを帯びてくる。だが、その突き放すような言い方は、どこか彼らしくない。


「……ご、ごめん」
「…。まあ、別に謝ることじゃないけど。
 責めてるわけじゃないし。


 とりま俺、急ぐんで。
 それじゃ」
「あっ、待って!


 …あの。
 …ひびきの高校で、何か、あったの?」


そう思い、追いかける声。
が、逆に黙ったままのポニーテールの幼馴染は、直人の物言いを、「らしくない」ではなく、「らしい」と思うところがあった。


「……。

 いや。別に。何もなかったけど。
 なんで?」
「だって!
 …なんか、あれから君の様子、なんか変だし…」
「……」
「いつでもいいからさ、
 私にできることあったら言ってね。
 話だけでも聞くし…。
 

 だって、君の言うとおり、私だってもう
 君とおんなじ吹奏楽部なんだよ。
 まだまだぜんぜん、直人君にも
 片桐さんにも、追いつけないけど…」


まっすぐな目でそう言われて、追われる方の身である彼は、視線を思わず逃がしてしまう。


…もう、追いつかれてるところはちょいちょいあるんだけど。



そう思ったのは、自分を卑下しすぎだろうか。
それとも、幼馴染の努力する姿を間近で見すぎただろうか。


わからない。
これだからジャッジペーパーは公平に成りえない。苦いことを考えた後、直人はただ一言、応えた。


「…うん。ごめん、ありがと」


きびすを返す幼馴染を目で追って、ポニーテールのお隣さんは、高見家の長男に駆け寄ろうか、迷った。都子が彼の言動を「らしい」と思ったのは、中学時代の彼に近い発言が見受けられたからだった。 


あの頃の部活では、上級生はとにかくわめいた。
地団太を踏み、椅子を蹴り、後輩や同級生を口汚くののしることも多々あった。だが、直人は違った。確かに人を非難し、皮肉ることはあるが、静かに冷たく突き放すことが多かったのだ。


「…また?
 今日何回そこミスんの」


ため息混じりに現“大門のあいつ”にそう言ったり、あるいは都子も被害に遭った際は、


「まあ練習しても意味ないけどね。


 俺らがクソほどピッチ合わせても
 “後ろ”がわざと乱してくるから」


こんなことを言われ、帰す言葉も無く、以後無言で学校まで登校したこともある。決して高見 直人は聖人ではない。最近はそのサガが首をひっこめていたが、もしかすると、陽ノ下 光が吹奏楽人として成長したことで、彼女に求める音や部活動の姿勢における水準が高くなり、自然と再び姿を現したのかもしれない。


ただ、都子が気になったのは、先ほどの彼の目。
コンクール時期によく見せる、腹の空いたワニみたくギラついた、不機嫌そうな目つきとは違った。どちらかというと、誰かとケンカした後などに見せる、心ここにあらず的な顔面蒼白の真顔だった。


最近はそういう顔を見せるとなんとなく、「和泉さんのこと思い出してる…?」と、都子には思えて仕方が無かったが、今はどうなのだろうか。もしもそうだとすると、2人の間の事は、さしもの都子でも首を突っ込むことはできない。うさぎさんの鉄パイプを押し付けて訊いたとしても、教えてくれないだろう。


…もし、光ちゃんの言う通り、ひびきので何かあったんだとしたら。あたしには、話してくれるかしら…。どうだろ。あなたのことなら何でも知ってるようでいて、結局はわからないことも多いのよね…。


でも…いい機会かもしれない。

もし光ちゃんが本当に直人のこと、想ってるなら…あの人のそういうとこ、光ちゃんも知る必要がある。昔から変わってないとこばっかりじゃないよ、直人も。光ちゃんがひびきのに行ってる間、本当に厳しい世界で、あたしも直人も凌いできたんだから。


都子の立つ位置からは後ろ姿しか見えない、ショートカットの元陸上部。

光は今、どんな顔で、遠ざかる後姿を見ているのだろう。それでもまだ追いかける気は、変わらないのだろうか。そう思うと否定的であってほしいと思う自分が心の片隅にあって、都子は、自分がつくづく嫌になった。


…やっぱり、今は追いかけられないや。


光がどう思っているかは、わからない。けれどまず、今の都子は、「予定がある」といって離れていく幼馴染のその予定を、改めることはできそうになかった。






















病院を後にした直人は、少しケータイをいじりながら歩き、きらめき中央公園の駐車場にやってきた。早いものはもう蕾を実らせつつある桜の木々が目に付いて、確かに寒さもマシにはなってきているのかなと思わされる。


そんな余所見をしながら歩いている時も、ケータイは手放さない。そんな姿勢を、待ち合わせの相手は叱った。「こーら」と。


「だめじゃない。
 歩きスマホは危ないわよ。
 
 特に駐車場では」
「あっ。
 
 へへ。ごめんなさい。
 てかごめん、迎えにきてもらって」
「ううん。
 …本当は、先生と生徒だもの。


 あんまり目に付かないところの方が
 ありがたかったら、大丈夫」


暖かそうだが大人っぽさとかわいらしさを両立する青い落ち着いた色調のコート、対する下は、短すぎないスカートで隠せない細い足を、黒のストッキングが防寒してくれている。


そんな、学校では見れない姿の麻生先生は、また、申しわけなさそうに唇をかみしめて笑った。その表情に、直人も同じような笑みを返して、車に入れてもらった。


「…どうだった?橘さんの容態」
「足は完全イッてたけど、
 とりあえず、元気そうだった。

 
 やる気もあるようだったから、
 完治したらまた出てきてくれんじゃない」
「そう。大事にならないといいけど…心配ね」
「うん。
 治んなかったら部活どころじゃないしね。
 
 
 …あ、えと。
 どこ行くんですっけ」
「あら。言ってなかったかな?」
「考えごとする時よく行くところがあるから、
 付き合ってもらおうかしら。


 とか言ってたのは訊いた。
 それ以上はなんも訊いてないよ」


昨日の電話の内容を掘り返して直人がそういうと、彼にとって近所のお姉さんだった人は、細いひとさし指を立て、自分の頬に当てると、助手席の彼の目を見て、言った。


「うーん…。


 えっとね。海」
「海?」
「うん。ベタかな」
「いや。いいんじゃない。
 景色の綺麗なとこ見て考え事すると、
 ちょっと違って思えてくる…って、
 キムタクか誰かが言ってた気がする」
「そうなの?
 …それじゃ、ちょっと今日はそういうのに
 付き合ってね」
「うん。お供します」 


ちょっと笑みを浮かべてくれた先生。

実のところ今日、華澄は、彼を「考え事する時よく行くところ」に連れて行く気はなかった。話そう、あるいは、詳しく話してほしい、といわれても、断る気で居た。だが、昨日の電話で彼が、なかなか気の利くことを言うものだから、つい、それに甘えてしまったのだ。


「あれじゃん。
 失恋した時とか、ひとりで居るの辛いじゃん。
 もうなんでもいいから誰かと居たりした方が
 気が楽っていうか…。

 
 先生も今、そういう感じなのかなって」


だからもし、誰もあてがないなら、自分を横に置いてみないかと。まるで毎回こんな口説き文句で、傷心気味の女の子を手中にいれてきたんじゃないかと思うくらいに自然で優しい誘いは、年下からのそれなのに、図星の心に染みてしまった。


…でも。ほんとに初めてだなぁ。
あそこに誰かを、連れて行くなんて。それがまさかこの子になるなんて、思いもしなかったな。



そんなことを思うと、エンジンをかけたばかりの運転席で、口許がつい緩んだ。そのとき、思った。ああ、確かに言う通りかもしれないな、と。




多分、つづく

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